ST-6の陰に隠れてしまって注目されることが少ないモデムですが，なかなかどうして使い勝手の良い機械です．私のところでは主にマシン用として３台のST-6000が稼働しています．このモデムは１９７６年に登場しました．

オペアンプによるアクティブ・フィルタによって構成されていますが，フィルタ部は170/425/850Hzそれぞれのシフトで回路が独立しており，妥協のない設計！？がされています．ST-6では外付けだったX-Yスコープ（RS2100）も，標準で備わっています．もちろんローカル・ループ電源も内蔵しています．

シフト切換をひとつ減らし，X-Yスコープやローカル・ループ電源，補助回路を省略したモデルがST-5000として販売されていました．

パネル左側には受信機能に関わる機能が集中しています．

・ シフト幅選択スイッチ
・ リミッタON/OFFスイッチ
・ 受信極性切換スイッチ
・ ATC（Automatic Threshold Control）ON/OFFスイッチ

パネル右側は制御関連機能やＬＥＤが集中しています．

・電源のON/OFF
・マーク信号の検出と連動してプリンタのモータを制御する機能（AUTO START）
・AUTO START有効時にマーク信号を検出してからモータをONするまでの時間設定
・プリンタのキーが押されたことによって自動的に送信状態にする機能（RTTY版VOX）
・ローカルループ出力をON/OFFする機能
・選択性フェ?ジングなどによるガーブル（文字化け）を軽減する機能

パネル中央にシンボリックに鎮座するのは，1.5インチのX-Yスコープです．

輝度やフォーカス，トレース位置などを，スコープの四隅に配置されたボリュームで調整することができます．

170Hzシフトの信号を正しく受信している場合のパターンです．

マーク信号(2295Hz)に同調させた状態で，シフトが170Hzよりも広い信号を受信している時のパターンです．170Hzよりも狭い信号を受信した場合には写真とは逆に，水平パターン（スペース）が右上がりになります．

正しくゼロインできていない（目的信号より低い周波数を受信））場合のパターンです．

回路は二枚の基板に上手くまとめられています．

こちらはアナログ関連の基板です．上側に六つ並んだ青色の半固定抵抗は，マークとスペースの周波数調整用のものです．

これらに直列にボリュームを入れ，外側から操作できるようにすれば受信信号のシフトずれに容易に対応できるようになります．もう一台の機械で改造しようかと思っています．

こちらは制御部の基板です．

この基板からＬＥＤまでは，薄いシート状の基板？で配線されています．

スコープやローカル・ループなどの電源回路も，この基板に配置されています．

中央にはスコープ関連の基板が二枚，CRTを挟んだ格好で垂直に配置されています．